アベノミクス 本性現す
「残業代ゼロ」で財界奉仕

 厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会で、「残業ゼロ」問題が話し合われている。アベノミクス第三の矢「成長戦略」は、「企業が世界で一番活躍できる国」にするために、「残業ゼロ」、フレックスタイム制の活用促進、裁量労働職種の拡大を狙っている。
 1月16日厚生労働省は、労使の隔たりをそのままに、時間ではなく成果で賃金を支払う新しい成果主義の制度案として、「研究開発・金融ディーラー・コンサルタント等5職種。残業代と深夜・休日手当をなくす。年収基準1075万円以上」を示した。
 労働基準法32条は「1週間40時間。1日8時間」と法定労働時間を定めている。36条で法定労働時間を超えて働かせる場合には、使用者は従業員の過半数代表者と書面の協定を締結し、労基署長に届け出て、割増賃金を支払わなければならない。労働時間の根本を崩そうとする「残業ゼロ」問題は、一部の高収入のサラリーマンが対象と思ったら大間違いだ。
 「厚労省は企業への聞き取りを進めて、職種の追加も検討する」(日経新聞1月17日)としており、経営側は年収要件を下げ、職種も会社ごとに決められるようにしてほしいと要望を出している。一部の職種から始めて、一般職にまで広げようとしていることは明らかだろう。
 人材派遣大手のパソナの会長は小泉内閣の経済財政担当大臣だった竹中平蔵氏である。最近、竹中氏がテレビで「日本の正規労働者は異常に保護されている。正社員をなくしましょう」と発言したそうだ。いまは、安倍内閣の産業競争力会議の一員であり、「限定正社員」など多様な働き方を推奨している。
さて、正社員をなくすことは簡単にできるのか。
 政府の規制改革会議で「解雇の金銭解決制度の導入」を主張してきた、鶴光太郎慶応大学教授は日経新聞1月19日「経済教室」で、次のように主張した。
不当解雇の場合の解雇補償金は「欧州では普遍的な制度」であり、ベルギー3カ月、デンマーク6.6月、フィンランド14カ月、ドイツ18カ月等と各国の例を示した。
 そして、日本への導入を考える場合の参考として、経済産業研究所のアンケート結果から16か月という数字も示した。鶴氏がここまで言うのは、政府が昨年の成長戦略(日本再興戦略改定版)で、労使紛争解決システムの構築を15年中に検討することにしているからである。正社員がいらないのは竹中氏だけではなさそうだ。
 労働者全体で、首切りと過労死反対のたたかいをすすめよう。


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