2035年の未来社会
    AI(人工知能)が世界を席巻
労働歪める人間疎外社会となるのか?!

 労働組合などに記事を配信している「連合通信」10月1日付は、ドイツの製造部門における「第4次産業革命」=AI(人工知能)による雇用破壊について、次のように報じている。
 「ドイツ連邦労働・社会省が15年に発表した文書では『第4次産業革命が実現した世界では、運転手や郵便配達員に代わって自動運搬装置が活躍し、外科医に代わって優秀なロボットが手術を執刀、建設作業員に代わって3Dプリンターが住宅を大量生産する』といった展開が示唆されていた。労働問題への影響としては、クラウドワーキングが典型的な働き方になることを想定。クラウドワーキングとは、『企業が業務の一部を外部委託するもので、それをフリーの各専門分野のワーカーが、在宅で業務請負する働き方』と定義(日本のクラウドワークス社)されている」。
 これはドイツだけの話ではない。日本でも今年8月、厚生労働省の「働き方の未来2035」懇談会(座長/金丸恭文フューチャー(株)会長)報告書に、多様な働き方としてまとめられた。報告書は20年前から世界は一気にインターネット時代に入り、今後20年でAIを中心とした大きな技術革新が進み、それに合わせて新しい労働政策を構築していくことが不可欠だとしている。
 AIが今後、使われるようになる分野は、広告、マーケティング、教育、金融、医療、法律、人事、警備・防犯、農業、物流、建築、土木、家事、介護等、ほとんどの仕事がAIに取って代わられるという。さらに、自動翻訳技術によって言葉の障壁がなくなり、人材の流動性が高まると「予測」している。ドラえもんの「翻訳こんにゃく」は便利だが、そんな夢のある話ではない。
 報告書は、2035年には「時間や空間に縛られない働き方」をして、「成果による評価が一段と重要」となり、「ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となり、多くの人は、プロジェクト期間内はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに、別の企業に所属するという形で、人が事業内容の変化に合わせて、柔軟に企業の内外を移動する形になっていく」と、正社員の形態はなくなり、派遣労働者のような働き方が主流になると主張している。それも一つのプロジェクトに従事するのではなく、「複数の会社の複数のプロジェクトに同時に従事するケースも多く出てくるだろう」という。つまり、労働者は請負業務をWワークしなければならなくなる。雇用関係も労働法の枠組みではなく 民法(民亊ルール)の適用や「当事者間の自由な契約」になると考えているようだ。
塩崎厚労大臣は報告書を「真摯に受け止め、具体化や実現化を図っていく所存」と表明した。しかし、報告書の描く未来社会は、人間を疎外した働き方を蔓延させるものでしかない。「ドイツでは、IGメタル(金属産業労働組合)が、社会福祉国家をさらに発展させる形で対抗しよう」(連合通信)と運動を強めている。日本でも、労働を歪め、くらしを壊す働かせ方に抵抗していく運動が求められている。【機関紙編集部】

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