2011/10/18 掲載
(Wordファイル)
 「独立行政法人改革分科会」の「中間報告」
         にあたって(談話)

2011年10月18日
特殊法人等労働組合連絡協議会
事務局長  竹 内  清

1、行政刷新会議の下に置かれた「独立行政法人改革に関する分科会」は10月14日、全103独法を対象に統廃合を含む見直し案を「中間報告」として示した。特徴的なのは先に統合ありきの「中間報告」ということである。
 文部科学省所管では文化振興を担う3法人の統合、大学支援を行う2法人の民営化、施設管理を担う3法人の統合。外務省所管では4法人の統合。環境省所管では環境関係法人と原子力関係2法人の統合。経済産業省所管では情報関係2法人の統合。厚生労働省所管では医療関係8法人の統合と労働者支援の5法人の統合。経済産業省所管の法人については統合相手を示さずに検討を求めた例が3法人、エネルギー関係の2法人の統合、中小企業関係の2法人の統合。農水省所管では農林関係で3法人の統合及び研究6法人の統合、他に2法人の統合。国土交通省所管では研究6法人の統合、さらに他の法人との統合を4法人が求められている。一方、財務省所管では統合がないのも特徴的である。
 統合が先行するのは、復興増税と消費税増税のために国自らが身を削っているとして、わずか3カ月の短期間で「成果」を上げんがための「改革」だからである。国民生活に役立つ事業や基礎研究の機関を「数合わせ」「理念なき統廃合」してはならない。特殊法人労連は断固抗議するものである。

2、野田首相は「消費税引き上げは強力な行政改革とセットでやらなければだめだ」と細川護熙元首相から助言を受けたという。今回の「独法改革」の裏には、復興増税と「税と社会保障一体改革」の消費税増税を実現する前に行革を行うとする姿勢が透けて見える。
 特殊法人が増税のスケープゴートになったのはこれが初めてではない。90年代前半に消費税を5%に引き上げる際に、村山政権の「特殊法人改革」が行われ、22法人を民営化して16兆円をつくるという民営化構想を打ち出したが、利用者の反対にあって14法人の統合が政治決着され、理念なき統廃合と国民から批判された。今回は民営化構想もなく、財源を生み出すこともない。
 独法には様々な法人があるが、国民のために必要な事業を行う法人としてそれぞれ理念を示した設立法があり、全ての法人が国会の審議を経て設立され、監督官庁のもとに事業内容を決定し、予算・決算についても国会の審議を受けてきた。いずれも国が行うべき行政の事務を代行する法人や研究開発を実施する法人であり、廃止・民営化すべきではない。
 同時に、設立目的や事業対象の異なる法人をこれ以上統合することにも反対である。すでに統合を重ねてきたのが現在の独法であり、それぞれの事業の具体的内容や取り組み・方法が異なることから事業本部体制で運営しており、統合による効率化は期待できないと考えられる。歴史ある事業をいくつも統合すれば、現在、独法役員は公募で決めており、役員の事業・業務の理解がより困難になるのではないか、統合によって業務運営が煩雑になるのではないかと危惧せざるを得ない。

3、独法には2001年の中央省庁改革により国の研究機関から移行した法人、03年以降に特殊法人から移行した法人等があり法制度の見直しが必要な面もあろう。
 そもそも独法制度とは、主務大臣の策定する中期目標に基づいて、各法人が約5年の中期計画を策定し、一定の独立性を持って渡切費の運営費交付金等を弾力的に執行し、効果的・効率的に事業を行い、主務省の評価等を受ける仕組みである。導入当時は柔軟で自律的な運営を実現できるとされたが、実際には、企業的経営の導入とより効率的に実施することが目的とされ、企業会計原則の導入と自己収入の増加を求められ、主務省の評価委員会と総務省の二次評価の二重の評価を受けてきた。しかし、その評価は財務内容に偏っており、事業の質の向上の面を評価するよう改善すべきである。
 この間、「骨太方針」や行革推進法等により、運営費交付金の一律削減で必要な事務・事業の実施に支障が生じていること、人件費についても一律削減目標が課され必要な人員を確保できないこと、評価制度が重複して多大な事務負担が発生していること等、問題点が指摘されている。
 行政代行型法人については、設立の理念に基づいて政策の確実な実施を図ることができるような自立的な運営の仕組みを担保し、研究開発型法人については専門的知見を有する評価の仕組みを作ることが必要である。「独法改革」と言うなら、それぞれの独法の特質や業務の背景となる行政の広がりを踏まえた見直しをすべきである。

4、労働組合として職員の雇用問題は最重要課題である。今年9月末に廃止となった雇用・能力開発機構(能開機構)では「労働契約を承継しない」とされ、事業は新法人に承継されながら職員は「いったん解雇」となった。
 日本労働弁護団が昨年、廃止法案が国会に提出された時に「法律により独立行政法人職員の雇用を奪うことは違憲である(声明)」を発表している。法案では、承継法人が採用基準を示し、それをもとに解散法人が職員の名簿を作成し、承継法人が採用するとなっていた。労動弁護団は「国会において、解散法人から承継法人に労働契約上の権利義務を承継しないとの条項を入れて、事業譲渡時の労働契約不承継を認める法律案を可決し、その成立した法律に基づいて能開機構職員を解雇することは、同職員の、労働契約上の権利はもとより、憲法上保障された勤労の権利(憲法27条)及び労働基本権(憲法28条)を侵害するものというべきである」とした。
 特殊法人労連は特殊法人から移行した際にも、「国が法人を統廃合・民営化するのであれば、国が職員の雇用にも責任を持つべきである。また、事業が継続するのだから、職員の雇用も当然継続すべきである」と主張してきた。職員には生活がある。家族がいる。特殊法人労連は、公的事業の拡充と全ての独法職員の雇用確保を求めて奮闘するものである。
                                     以 上

(c)2001 Tokhoren.com. All rights reserved.